配信イベント”END OF CENTURY”を見ました。

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こんにちは、先日心斎橋CONPASSでイベント"END OF CENTURY"が開催されました。

会場でお客さんを入れてのライブだったようですが、ライブ配信もするようでしたのでチケットを購入し観覧しました。

せっかく音楽ブログなんてやってるので、感想も書こうかなと思います。

イベント一番手はKentaro Hayashiさん。

アルバム"Peculiar"の曲を多く演奏されてました。

Kentaro Hayashiさんはライブでも完成したトラックを使わず、ハードウェアを駆使してその場で演奏されています。なのでライブごとに同じ曲でも全く違うアレンジを聞かせてくれます。

例えば一曲目のGargouille、リリース音源を土台にして、ライブだとさらにアグレッシブな音が縦横無尽に駆け巡っていて、ライブ会場を自由に音が移動しているような、そういう錯覚を覚えます。

こちらのインタビューででベルリンの音楽フェス、Atonalのメインステージでの音響と体験が元になっているとおっしゃっています。

AtonalはドイツのKraftwerkという発電所跡地で行われているサウンドアーティストが集まる音楽フェスです。

コンクリートと鉄筋に囲まれた場所での音楽体験。彼の作品を聞いたとき感じる、音の反響に対する説得力の理由なのかなと思いました。
そしてその音のイメージを実際に再現する技術の高さ。それは自宅のスピーカーという会場から離れた場所で聞いても強く感じるものでした。
アルバム全体の流れを組むようなセット全体の構成も、綺麗で激しいサウンドもすごく好きでした。また是非生で聞きたいです。

二組目のLe Makeupさん。

ライブではアルバム"微熱"からの曲が多かったように感じます。

一人目のKentaro Hayashiさんがコンクリートの空間に響くようなエレクトロとすればLe Makeupさんは人の息を感じられる暖かさのエレクトロミュージックだなと思いました。

例えば一番目に演奏されたアルバムの一曲目でもある"Beginning"はかなり歪んだ声のサンプリングで始まるアコースティックギターとピアノの音をメインにしたエレクトロ。
他にもギターのアルペジオにエフェクトのかかったボーカルを乗せた"Sit Down In Refrection"とか、ギターを演奏するパフォーマンスが印象的だった"微熱"や"愛のしるし"。

どの曲もエレクトロやヒップホップの要素と人の生活音やアコースティック楽器の持つ懐かしさや暖かさが混ざり合っていました。
Ryan Hemsworthとのコラボ"Moon Hit"も演奏していらっしゃいましたが、モジュレーションエフェクトで音程が揺れたリフは陶酔感もあって暖かい、だけどどこか切ない夕暮れ時みたいな印象を感じました。

ライブセット全体を通してゆったりお酒を飲んで聞きたくなる、そんな演奏でした。

三番手は食品まつりさん。

ライブで食品まつりさんははKorgのElectribeというシンセサイザーを使ってると思うんですけど、こういうシーケンサータイプのシンセサイザーってループミュージック向けに作られていることが多くて、例えばダンスやテクノや、そういうビートがかっちりした音楽を作る方が使ってるところを見るのが大半です。

例えばこういう使い方。

それを使って食品まつりさんはノンビートな音楽…正確にはノンビートではなくて、小節やリズムのループは確かに存在しているのですけども、真っ直ぐな8ビートや16ビートには収まらない複雑なリズムを刻んでいます。
機械が奏でるミュージックだけれど、確かに人と人がセッションしている時のような心地よいずれや偶然が生まれている。

そういう複雑なビートと木や金属を打ち合わせるようなパーカッションの音色がどこかの民族音楽を想像させます。

食品まつりさんはEZ Minzokuってその名の通り民族をイメージしたアルバムを出してらしたこともありますし。

このアルバムも今回のライブも民族っぽい!と感じます。

でもじゃあどの民族の音楽なのかと言われると私には答えられません。
こう思ったのは私だけでないらしく、実際"民族を感じた!"という私以外の感想をSNSで見かけたのですけれど、それもあくまで"どこかの"民族であって具体的な場所には触れていらっしゃいませんでした。

どこの民族って言われると難しい。もしかしたらそんな国はないのかもしれない、でも確かに感じる民族。
そんな私たちの頭の中にだけ存在する民族が奏でる音楽、それをいろんな人が共通のイメージとして感じ取っているってすごく面白いなと思いました。

そして最後が今回の主催のVMO – Violent Magic Orchestraさん。

VMOさんはまず公式webサイトの情報からプロフィールを抜粋します。

VMO a.k.a Violent Magic Orchestra エレクトロニクス担当のPete Swanson(ex Yellow Swans)、MIX、シンセ、ビート担当のExtreme Precautions、楽器担当のVampillia、ライブヴィジュアル担当のkezzardrix、そして3台のストロボライトからなるテクノ、ブラックメタル、インダストリアル、ノイズが渾然一体となり発光されるアートミュージックプロジェクト。それはまるでブラックメタルmeetsクラフトワーク、バーズムに侵略されたエイフェックスツイン。ちなみに現在もっともライブハウス、クラブで電力を喰うユニット。
VMOの総電力量は、4500W。わかりやすく言うとアンプ56台分。

公式プロフィールより

アンプ56台分の電力っていうのに目がいって仕方ないのですけども。
エレクトロ、ブラックメタル、ノイズの要素が融合したバンドさんで、今回ライブを企画した方々です。

演奏もさることながら、ビジュアルの演出も凄かったです。プロフィールにはストロボ3台使用で現在最もクラブで電力を喰うバンドと書かれていましたが、今回のライブではさらに3Dの動画と現地のライブパフォーマンス中の映像を混ぜて配信してらっしゃいました。パフォーマンスの後ろではプロジェクターで投影されたVJの映像も流れていて非常に力の入った演出でした。

コロナで大変な時期ではありますけれど、その中でこういったイベントを企画し、演者としても新しい表現を追求していく姿勢は本当に素晴らしいなと思いました。
配信ライブの可能性を感じるパフォーマンスでした。

白塗りのメンバーさんたちがメタルな表情とパフォーマンスで映像に負けないくらいお客さんを煽りまくってるのも非常にカッコ良かったです。

以上四組、いろんなジャンルの中で今勢いのある人たちが集まったイベントでした。
今回はライブ配信をやってくれたのが本当嬉しいです。
こんなご時世なのもありますし、距離や開催時間の問題で行けないイベントも多いので配信してもらえると非常にありがたいのです。

そりゃできるなら現地に行って食品まつりさんの物販、アジフライ煎餅を購入したかったのですけども。

でも配信は配信で、家の中で落ち着いて音楽を聴けるので良かったです。

コロナに関わらず、選択肢が増えるって全然悪いことではないと思うのです。
今回の出演者さんは皆さん日本以外のレーベルからリリースしてたり、いろんな国、いろんな地域のファンがいる方たちですから、こういう配信があることでライブが見れて嬉しいファンもきっと多いと思います。私もそうです。

コロナが収まった時には生でライブを絶対見たいんだ!という欲をいい感じに刺激してくれますし。
生のライブと食い合うものではないと思うので、これからも配信ライブを行っていただけるととても嬉しいなと思う出不精の猫でした。

ライブハウスでまたイベントが見られる日を祈って今日はここまで。

読んでいただきありがとうございました。