今日はAutechre MixのSophie Bippを聞いていました。原曲も一緒に。
かっこいい曲です。好きです。
原曲とは全く違う感じ。でもどっちも低音バシバシでかっこいいよ!
Sophieの訃報を見たときにはびっくりでしたよ。
インダストリアルな実験的サウンドもキャッチーなメロディーラインのポップスもいろんな要素を貪欲に取り込んだ彼女の音。私は雑食性こそPopのPopたる所以じゃないかと思っているのですが、そう思うとSophieの音はまさにPop、Hyperpop。
ただ、彼女を知った当時はその辺の流れにあんまり詳しくなくて、Hyperpopって名前もよく知らなかった。その後少ししてArcaやCharli XCXあたりの名前を知ってやっとHyperpopって言葉の存在を知りました。
といっても当時の認識は、LGBTコミュニティにリンクしたアバンギャルドな音楽がHyperpopを名乗っているのかな、くらいのゆるいもので、Hyperpopという言葉はあまり意識せずのんびりと彼らの音楽を楽しんでいた。
しかし2019年ごろになってHyperpopというプレイリストが作られたあたりからか、あっという間にいわゆる”Hyperpop”らしい音楽を作る人間が増えた気がします。ジャンルそのものの愛好家も増え、Hyperpopに属するアーティストも続々増えていった。
Future Bassやナイトコアから影響を受けたみたいな、音的にもビジュアル的にもオーバーに増幅されたものと一緒にSophieがHyperpopと呼ばれ始めたのに若干の違和感はあったんですよ。
だってSophieの出す音は、キッチュな面白さを狙った過剰なエディットとは対極の、激しいときにも常にどこか優雅で、気品とシニシズムに溢れたものだと思っていたから。
こういう、パッとみKawaiiビジュアルのビデオも出してはいましたけど、音はキレッキレにインダストリアルだし。
昔のリリースも、音は今よりチープめだけど低音バシバシでめちゃくちゃかっこいい。
同様にHudson MohawkeもHyperpopの始まりと呼ばれている様ですが、そこにも違和感が。
私、Sophieを知るよりさらに前、全く別の路線でHudson Mohawkeも大好きだったんです。というかTNGHTが好きだった。
学生時代バイト先の先輩に教えてもらって非常にはまったリリースの一つだったり。
先ほどのSophieと同じ匂いはするんで、SophieとHudson Mahawkeが一緒にされるのは私的にわかるんですけども。その後の流れが今のSpotifyの”Hyperpop”なのか?って言われると、そういう”Hyperpopらしい”サウンドとは音の方向が全然違うのではないかなと私は思うのです。
というか正直いってしまうと、2019年くらいからの”Hyperpop”の動きが私はあまり好きではない。
別にHyperpopそのものが嫌いなわけではないです。私もミーハーなもので、むしろちょっと前までは新しい流行か?ってワクワクしてた口ですし。ディストーションがかけられたエレクトロサウンドも好きだし、オートチューンのボーカル自体は曲に声が馴染む感じがして私も好きですよ。
でもそういった言葉にしやすい定型を意図的に取り込もうとする、Hyperpopと呼ばれようとする、Hyperpopらしい枠の中に収まろうと足掻くもののどこが超越者なんでしょうかねえ、なんて。
別に誰のこととは言わない。言う気もない。だってそう言うリリースがあまりに多すぎるから。Hyperpop”らしい”素晴らしい作品を作る人間なんて、いちいち誰だと指摘していられないほど猫の手には余るのです。
そして、数多く見える彼らのリリースが、私にはそれがHyperpopの枠に滑り込んで一定数いるHyperpop好きの客をとろうとする、あまりに賢い一集団の動きに見えてしまうのですよ。
Hyperpop自体嫌いではないです。こういう新しいことをやろうとする動きは大好きです。
そして賢く動くマーケットの中にももちろんかっこいい音楽もあると思います。QTやCharli XCXの新曲とか良かった。ただ、これらって別にHyperpopの文脈で語らなくてもかっこいいなって思える様なリリースだと思うんですよ。
同じ様に、きっとSophieもHudson Mohawkeも、Hyperpopという言葉がなくたって美しい。
だからこれは、今になって”あえて”Hyperpopに寄せにいっているなって人には個人的にそこまで興味が湧かないかなあという、単なる私の呟きです。可愛さ余ってなんとやらというか、一度期待した分落胆も大きいというか。
結局Hyperpopが単なるPopとして浸透したとき、果たしてどれだけの作品が人の心に残るのか。それは後世の人のみぞ知る。
個人の好みをもっともらしくだらだら喋りましたが、こうやって記事を書くことでHyperpopの祭りに参加してしまう私でした。
読んでいただきありがとうございました。
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